園田先生のQ&Aコーナー 

-道路橋示方書,耐震設計編(平成24年版)の理解を深めるための構造力学-

“今や,土木構造物の耐震設計の実務では,多彩なコンピュータソフトが完備しており, 構造力学に基づく手計算などやったことはありません”と,ある PC 橋梁の会社の方に われたことがあります.確かに,ルーチンワークになった設計業務では,もはや構造力学 など知らなくても何の不便も感じなくなっているのかもしれません.

 しかしながら,橋梁の耐震設計に限ってみると,わが国の橋梁設計は道路橋示方書に基づい ており,その歴史は古く,長年に積み上げてきた実績,ならびに過去に蒙った震災や災害の 経験より,幾度も改訂され今日に至っております.したがって,今日の道路橋示方書の取り 扱う範囲は広くかつ深く,そこでの条文と解説を正しく理解するには,過去の変遷はもとより ,その基礎になっている材料力学や構造力学の知識が不可欠と思います.

 橋梁に限らず,土木構造物の設計に,既存のコンピュータソフトを使った場合でも, 適用したモデルの妥当性と得られた結果の解釈などについては,その基礎となっている 材料・構造力学の知識が必要であると信じて疑いません.

 そんな訳で,大学や高専を卒業されて間もない若い構造設計の実務者に,道路橋示方書の中の最新 (平成 24 年版)の耐震設計規準をより深く理解していただくための構造力学 Q & A 集を作って みました.ここに載せているのは,当方で想定した質問と回答であり,実際の設計に携われいる方には, もっと異なった多様なご質問や見解があるものと思います. したがって,どのようなご質問でもありましたら,気兼ねなく下記にご一報いただければ,当方の能力 の範囲でお答えしようと思っております.この コーナー が土木構造の設計実務に携わる皆様のお役に少しでも立てたならば望外の幸せとするところです.

連絡先:info@softevolution.jp

目次

  1. 主な用語の解説

    道示,耐震設計編の条文および解説には,線形および非線形構造解析に関連する多種・ 多様な用語が用いられていますので,それらの主なものを挙げて,簡単に説明しています Terminology.pdf. をクリックしてください.


  2. 4章設計地震動に関連づけて

    加速度応答スペクトルとは? 一自由度系の振動モデル,円振動数,固有周期, 標準加速度応答スペクトルとは?等については,Chap.4.pdfを クリックしてください. なお,加速応答スペクトルの計算法の詳細については, Append.1.pdf を参照してください.


  3. 5章耐震性能の照査に関連づけて

      耐震性能1,2または3とは?  地震時の挙動が複雑でない場合の静的照査,地震時の挙動が複雑な場合の動的照査とは?  一自由度系の振動モデルの設定方法,多自由度系の振動モデルの設定,主たる塑性化による エネルギー吸収とは?等についてはChap.5.pdf をクリックしてください.


  4. 6章静的照査法に関連づけて

    設計水平震度,設計振動単位の採り方,固有周期の求め方,等価質量,降伏剛性などについては, Chap.6.1.pdfをクリックしてください.  さらに,Rayleighの方法,エネルギー一定則, 完全弾塑性型の水平荷重-水平変位モデル,許容塑性率,残留変位の照査,等については, Chap.6.2.pdfをクリックしてください.


  5. 動的照査法に関連づけて

     動的解析とは?,解析モデルの選定,橋軸方向と橋軸直角方向の地震動によるモデル化の相違, 減衰定数の採り方,エネルギー減衰と Raleigh 型減衰,等については Chap.7.pdf,をクリックしてください.

     さらに,多自由度振動問題での固有値解析とモード解析については、 Append.2.pdfを参照してください. さらに,動的解析法である応答スペクトル法および時刻歴応答解析法については Append.3.pdfを参照してください.


  6. 10章鉄筋コンクリート橋脚に関連づけて

    破壊形式の判別,曲げモーメント(M)-曲率(Φ)曲線および水平荷重(P)-水平変位(δ) 曲線の求め方,塑性ヒンジ,動的解析に用いる履歴曲線(武田モデル),等については, Chap.10.pdf ,ならびにAppend.4.pdf をクリックしてください.

     なお,上部工の幅員が広い単柱式橋脚での動的解析の必要性については, Append.5.pdfを参照してください.


  7. 10.6の鉄筋コンクリートラーメン橋脚に関連づけて

    プッシュオーバー解析,崩壊メカニズム,塑性ヒンジ,保有耐力,許容塑性率,破壊形態の判別, 軸力の降伏曲げモーメントに与える影響,など,については, Rahmen Pier.pdfをクリックしてください.


  8. 10.9の偏心モーメントが作用する鉄筋コンクリート橋脚に関連づけて

     偏心モーメントの影響,保有水平耐力,許容塑性率などについては, Eccent.Moment.pdfをクリックしてくだい. また,動的照査については、Append.6.pdfを参照してください.


  9. 11章鋼製橋脚に関連づけて

    動的解析による照査,保有水平耐力,二次剛性,許容残留変位,残留変位応答スペクトル, 履歴モデル,終局曲げモーメント,終局曲率,などについては Chap.11.pdfをクリックしてください.


  10. 12章鋼製橋脚に関連づけて

     杭基礎の弾性変位計算,設計水平震度,基礎の降伏,最大応答変位,許容塑性率,などについては, Chap.12.pdfをクリックしてください.


以上